XR250(ME06) エンジンO/H シリンダーヘッド編
こんばんは。カズです。
前回の「XR250(ME06) エンジンO/H シリンダー編」に続いて、オイルの異常燃焼対策の続きです。
やっぱりバルブガイド?
前回バラした際にシリンダーヘッド周りの点検もしましたが、バルブステムには気になるような傷はありませんでした。また、バルブの傘の当りも特に問題がなさそうに見えました。素人目で見る限りシリンダーヘッドに問題になるような個所は見当たりませんでした。
すがる気持ちでネットサーフィンしてみたら、XRスペシャリストのヴァイタル・スピリットさんのHPにヒントになるような情報を見つけました。
http://vital.sakura.ne.jp/me06%20senyou.html
- バルブガイドの抜け上がり!
- 高回転まで回す人に限り出る症状!!
- オイル下がりを起こす!!!
まさに今、我が愛車で起きている問題そのものが書かれているではないですか!
でもバルブガイドは抜け上がっていたかな…?気にしていなかったからハッキリ確認していないし、ひょっとしたら抜けているのかも。
これはもう居ても立ってもいられず 、さっそくエンジンをバラすことにしました。
シリンダーヘッドの分解
このエンジンをバラすのはもう何度目になることやら。学生時代の初号機から数えれば20回以上はバラしているので、「目を閉じていてもわかる」感覚でバラしていきます。
でも実はこの思い上がりが問題を起こしていたのでした。
XRのシリンダーヘッドカバーを締めているボルトは、M6が13本とM8が1本で構成されていて、M6の13本のには全く同じ長さの物もあれば似ているけれど微妙に異なる長さの物もあります。
前回だか前々回だかに組んだ際に、似ているけど微妙に長さが異なるボルトを組み間違えてしまったようで、結果的に1ヵ所の雌ネジが舐めてしまったのです。
それだけでなく、多分これは自分ではなく前のオーナーがやったのだと思いますが、シリンダーを固定するM6でも同じように舐めかかっているところが1ヵ所あります。
今回はこれも直していこうと思います。
まずは外装やらキャブやらを外します。
前回の反省から、外したM6のヘッドカバーボルトを指定位置に戻せるように、↓の写真のように空箱を利用して位置関係を分かるようにして保管します。
外したヘッドカバーのロッカーアームはキレイな状態。
ヘッド側。ここから見る限りは問題なさそう。カムもキレイ。
燃焼室側も異常は見られない。ピストン交換の際にカーボンを落としたばかりですが、500㎞ちょいでもうこんなに汚れてしまうのですね(涙)
バルブガイドの抜けも確認したのですが特に隙間は見られず(肝心の写真は撮り忘れ。トホホ)。
本当にガイドが原因なのか腑に落ちませんが、でも残る可能性はココしかないので、バルブガイド交換に踏み切ることにしました。
加工業者探し
さて、バルブガイド交換。
今まで一度もやった経験がないのでYoutubeで作業を見てみたところ、ガイドを抜き取ることはできそうでしたが、その後のリーマー加工やらシートカットなどは特殊工具が必要で素人が手を出せる領域ではないと判断しました。
でも加工を依頼するアテがなかったので、最近犬の散歩同士で仲が良くなったバイク屋さんに相談したところ、静大浜松キャンパスの近くにある「大鈴ボーリング」さんを紹介してもらいました。
ところが自分が連絡を取ったのが年末の稼働最終日夕方で、1月6日まで休みということだったので、それまで待って改めて連絡し加工費と納期を確認しました。
加工内容は「ガイド交換」「リーマー加工」「シートカット」「すり合わせ」がセットで、1ポート4千円。XRの場合は4ポートなので1万6千円。部品は依頼者の持ち込み。納期は2週間程度とのことでした。思っていたよりも料金が安く納期も問題なかったので、加工を依頼することにしました。
部品手配
せっかくバルブガイドを交換するなら、バルブもバルブコックもひと通り新品にしようと、Webikeの純正部品注文サービスで見積をとったところ、なんとバルブガイドは廃番になっていました(汗)。代わりに?以前廃番になっていたはずのバルブは手に入る要でした。
なんとかバルブガイドを手に入れないと話にならないのでネットで探したところ、Impexという旧車のリプロ品を取り扱っているショップで代替品がありました!しかも1ヵ所770円という格安で!安すぎるので一抹の不安を抱きつつ購入。
以下が購入品一式です。
数日で部品が配送されたので、シリンダーヘッドと一緒にバルブ・ガイド・Oリングを大鈴ボーリングさんへ出荷。納期が2週間とのことですが、ちょうど海外出張で2週間空けることになったので、帰国のタイミングで受け取れることになりました。
加工上がり
2週間の海外出張から戻ってさっそく大鈴ボーリングさんに問い合わせしたところ、いくつか問題があったとのことでした。
- エキゾースト側バルブガイドの1つを外す時に非常に緩かった
- 上と同じガイドホールに対して、持ち込んだ新品のエキゾースト側バルブガイドの1つが1/100㎜程緩いため、オーバーサイズに交換したほうが良い
- 外したエキゾースト側バルブガイドのOリングが2カ所付いていなかった
エンジンオイルの異常燃焼は、この1番と3番が原因とみて良さそうです。やれやれ、原因が分かって良かった! でもなぜ??前オーナーの仕業??この疑問に対する答えは出ないでしょう。
2番については、ガイドを4千円でワンオフで作れるとのことでしたので、他に選択肢ないので依頼することにしました。
それから1週間ほどで加工品を受け取りました。
人生初の新品バルブガイドが組まれたシリンダーヘッドです。1ヵ所色が違うのは材質の違いです。ココだけリン青銅材でそれ以外は購入品の鉄鋼材。大鈴ボーリングさん曰く、鉄鋼材でも問題はないとのことでしたので、これで組んでいきます。
組付け
組み付ける前に、念のためバルブの当りを見ておこうと光明丹で確認してみたところ、2カ所で当りが悪いところがあったので、納得いくまですり合わせをしておきました。
マニュアルに従い、バルブステムにモリブデングリスを薄く塗布してから組み上げます。
これまた何度目かの組み立てなので2時間ほどで組み上げ、オイルはMOTULの「7100 4T 15W50」を入れて早速試走しました。
試走がてら、内燃機屋さんを紹介してくれたバイク屋さんにお披露目を兼ねて挨拶に行き、その後大学時代の先輩の家へ借りていたバルブスプリングコンプレッサーを返却に向かったその道中で、悲劇が発生ました。
バルブの焼き付き
それは突然のことでした。
慣らし運転中だったので低い回転数でギヤをつないで、ちょっとした上り坂を駆け上がっている最中に、突然「カンカンカン!」という音がエンジンから聞こえたため急いでクラッチを切ったら、即エンジンストップ。
「何が起きた!?」「最悪バルブの傘部が落ちて燃焼室内を傷つけたりしていたらどうしよう(汗)」とか考えてみたりしたものの、考えていても仕方がないので、家から2キロほど所で大した高低差が無い道中だったため、押して帰宅することにしました。
帰宅しさっそくシリンダーヘッドを開けて見たところ、Exバルブの片方が変形していました。ピストン側に打痕がありました。
変形したバルブを外そうとしたら、そのままでは外れないためヘッドカバー側からハンマーで打ち出したところ、ステムが焼き付いていました。
何が原因なのか?
などを考えては見たものの、所詮素人なので大鈴ボーリングさんに問い合わせしたところ、確認と修理するのでまずは現品を送って欲しいとのことで、必要な部品を調達して送ることにしました。
ただ、やはりガイドの材質に問題がある疑いがどうしても晴れなかったので、できれば先の1ヵ所と同じようにリン青銅材で作ってもらえないかお願いしたところ受けて頂けることになったので、ありがたくお願いすることにしました。
ワンオフのガイドの製作と交換、問題のポート以外のバルブの点検もして頂き、1週間ほどで修理し送り返して頂けました。
ですが、大鈴ボーリングさんでも焼き付いた原因は結局不明とのことで、不安が残る結果となりました。
ようやく完治?
ピストンの打痕は無視できる程度と判断してそのまま組み上げ、10キロほど試走しましたが、オイルの異常燃焼による白煙はなく、バルブの焼き付きも発生していません。当然負荷は掛けていないので、完治したのかは断言できませんが。
慣らし運転でしばらく様子をみていこうと思います。
(現時点での走行距離13,224㎞)